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鎌倉のホテル
Hotel in Kamakura
既存の風景に新たな居場所を埋め込むための「陰影」と「園芸」
1F飲食スペースから建物外部を望む/陰影にフレーミングされた庭の緑が空間全体を包み込む壁紙となる。
一面接道の奥行きの深い敷地に、高さ制限等の諸条件をクリアした上で事業的に要求された建物ボリュームを置くと、まちとの関係を築くべき1階の空間には大きな影が生じる。つまり敷地の真ん中には元々大きな「暗がり」が予定されていた。この所与の状況をポジティヴな価値に転じるための試みが結果としてこの建築の中心的なコンセプトとなった。
「陰影」に対する意匠的な呼応として、建物全体を通じてユーザーの目や手に触れる部分の素材の質感や手触りを慎重に選択した。人は暗がりでは色彩よりもテクスチャに対する感度が高まることから、各所に色を塗るようにテクスチャを配置している。
この建築がこの先何十年とかけてその価値を高め、御成町に根を張ることを願い、時間が経つことを「熟成」と捉える感性で各部のディテールを決定している。
それはメンテナンスフリーの考え方がもたらす堅く冷たい建築からの逸脱につながることだと考えている。
館内サインに組み込まれた銅板は、エイジングすることで価値が高まるマテリアルとして象徴的に用いた。カウンターなどの木製家具に採用さいたチェリーは経年で色合いが大きく変化し味わいを増すことを期待して選定している。
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